そも、5月に前川麻子さんが出演した龍昇企画「台所純情」の時に、挟まっていたチラシにおうまい、となり、時せず友人の関係者の方が出演される、っつうので、帰りの東西線で「やっふう!」とテンションが上がった芝居。
7月末、涼しくてバテてなくてよかったです。
暑かったら、どうにかなってたぜ。
場所は小劇場スペースながら、大人の芝居でした。
2004年初演当時、実際にあった保険金殺人事件に関して、作者(ルックスのほほん系)の方が怒りにまかせて書いた芝居の再演。当時それほど一般評価はされなかったけど、大物の評価が高く、大切に思っていた作品を今回書きなおした、とのこと。
大舞台で狂人を演ずるのは、もしかしたらそれほど難しくはない。
登場するのは、狂っていない、まっとうで、ただただ足元を根こそぎすくわれて身の拠り所のない人間。いわば「崩れている」人間。
そいつらを意のままに操る権力を持つ社長、宮島健氏圧巻の演技。
その社長に保険金を掛けられ、命すら掴まれる社員。通うしかないスナック。死んだ目のママ(前川さん)とホステス。女はイタブラれ殴られるんだな。
イタブラれる様は、正直すっごい嫌悪感がありました。
社長にイタブラれる男性、見て見ぬふりのホステスたち、ママの伏せたまなざし。
嫌悪感と観たい感の対極にぶんぶんと揺さぶられるこの感じ。
どれもこれも、達者な演者なくしては成り立たない演出。
恐かった、本当に、恐かった。
終盤で嫌悪感が最高につのる、
ホステスの台詞「うちのひと、死んだの?…めんどくさ…」
うわああああ。自分でクスリ仕込んでたはずなのにー!
この女優さん、最高だ。
たとえば人を誘って観に行くにはつらい、こういう芝居、観て揺さぶられてずーんとなる時間。これ大切だと思う。
10年前とまったくかわらず
また前川さんを遠くで見るだけの私。
不惑超え、色気のかたまり。全てを受け入れ男をはたき倒すマドンナ。最高だ。
また板の上で見ることができますよう、市井の一観客より。