11月3日 赤坂ACTシアター 初日
飽くまでも初日なので、ネタバレ徹底回避の感想です。
これは、鄭義信さんの舞台です。
主演に据えられたのはクサナギツヨシですが、クサナギの為の作品ではありません。
鄭さんのソウルが込められた舞台です。
舞台は1900年代の、日本が韓国を統治下においていた時代の朝鮮。
放浪芸の集団の、華やかな芸で幕が上がる。
芸団の座長となる男(チャ・スンウォン)と、親朝派の教師柳原(クサナギツヨシ)が触れ合い、100年、200年語り継がれる物語が始まる。
余談ですが、私は学生時代、日韓関係を歴史から紐解くというテーマのゼミに属していました。
聞こえはいいですが、一期生で、属する学生は落ちこぼれで、バカばっかりでした。
3年生の終わりに、韓国に3週間の研修旅行に行き、現地の学生との触れ合いも体験しました。80年代の終わりです。
その時に日本語を学ぶ学生が、「日本は素晴らしい国です、でも10年20年先には、私たちの国が追い越します」と澄んだ目ではっきりと「日本語で」私たちに宣言しました。ぞっとしました。忘れられません。
そして2012年。果たしてそうなりつつあります。
日韓関係が怪しいこのご時世。この舞台は「危ないんじゃないか」と、普通に懸念しました。
日本文化が韓国に流れることを不文律で禁じられていたのは、実はつい最近まで。
日本で韓流がブームになったのも、ほんの10年くらい。文化の視点で見ても近くて遠い日韓関係。
クサナギさんが「チョナンカン」を始めたのは2001年。韓流よりももっと前。
人が興味を抱いたモノにハマるのは、光速よりも速い。クサナギさんの韓国語はあっつう間に上達し、日韓の橋渡しを、確実に果たした。
のが、今回の舞台の成果ではないだろうか。
「チョナンカン」でインタビューをした、ある俳優さんが、今回自国でも体験しなかった初舞台を踏んだ、チャ・スンウォンさんです。
今回これがご縁となって初舞台のようです。モデル出身で、背も高く声も良く、かっこいい俳優さんでした。
並ぶとクサナギさんと、頭ひとつ差がありました。
クサナギさんは、教師で、メガネで、ひよひよですが、強固な物を内に秘めた役どころです。
日本が韓国を支配していた時代の話を、政治も経済も弱った現在の日本で日韓関係をどう読みとるのか。
義信さんの答えは、この舞台に込められていると思います。
高評価をもらったという「焼肉ドラゴン」を、私は知りません。
かつて、そして今でも日本と韓国の関係はいいものではないでしょう。でも、人を信頼することで、肩を組み、抱き合い、涙することはあるのです。国の堺はないのです。
休憩挟んで3時間半、長い芝居です。共演陣もあるので、長くならざるをえないのかもしれません。
クサナギ目当てで行くと、奴の出番はそう長いもんではありません。
あるのは人間の思い。芝居。そのものです。
共演陣の香川さんの体を張った演技、広末さんの可憐な存在感。
アンサンブルも多数。共演陣の数だけ物語があり、誰をとっても魅力的なキャラクターが存在します。
あー、結構ムズカシイことひねくりまわしちゃったんだけど。
実のところ、古くから親しくしている大切な友人が、スンウォンさんの大ファンでwww
友人周りのスンウォンファンの方々が、眼をキラキラさせて想いを語っているのを見て、かつての自分wwwを反芻してみたりして。出待ちなんかしてみちゃったりして。
「えーSMAPファンってそんなに大変なんですかあ」とか言われてしまいましたよー、はい大変です(おい)。クサナギさんだけで、ちょっと前までライブに振り回され、舞台があって、あとちょっとすると映画も公開なんですよー。
比較的ホットなスンウォンさんファンの方々の笑顔を目の当たりにして、こっちも幸福感のおすそ分けにあずからせて頂きました。
本日、相方が実家に寄っているため、調子に乗ってこんなド深夜まで夜更かししている私なのでした。
明日の舞台情報番組で、より沢山のお客さんが舞台を観てくれますように。
幸せな人の顔を見られて、幸せな夜でした。
お休みなさい。